Stronghold – Kaminakaya

42 本のアクリルの軸棒が、床から天井まで、床に塗料で描かれている形の外側に沿って垂直に設置されている。神山の町のかたちだ。床と天井が神山町の形をした一種の檻である。棒と棒の間の距離は 10 から 70 cm と様々で、観はこの透明の格子を通り抜けることができる。タイトルの “Stronghold” は、もともとこのプロジェクトのシリーズにつけていた題名 “Place Forte”(フランス語)の英語訳である。“Place Forte” は直訳すると、“強い場所”と言う意味で、熟語としては城塞、城壁、と言う意味に使われている言葉だ。副題のKaminakaya(上中屋)は、一種の屋号である。“狭い地域社会でしか使われない暗号のようなもの”といわれる屋号の概念は、作り付けで、その場所にしか存在できないインスタレーション “in situ” と通じるものがある。上分では現在でも屋号がよく使われており、かつての上分中学校は“上中”と愛称された。つまりこのサブタイトルは、作品がこの場所でしか存在できないという意味も含んでいる。隔離された町、神山で町民であるかないかはとても大切なことである(うちにいるのかそとにいるのか)。町の住民同士の監視は、町の孤立と安心感をより高めている。

Moving territory(動く領域)-神山

20本ほどのフローリングの寄木が神山の町のかたちに型どられ、補強されている。41個の小キャスターがこのプラットホームに取り付けられ、床の上を自由に滑ることができる仕組みになっている。訪問者はこの上に乗って移動することができる。つまり自分のテリトリーの中にいながらにして自由に移動することができるが(夢)、いろいろなところを旅行しているのに、実は自分の家から外に出ていなかった(悪夢)と解釈することもできる。

7.5メートル平方の国境

約200本(Ø17mm)の鉄の棒が接合され一つの柱を作りあげている。
柱の断面はフランスの地理の形をしているが、直接はその形を見ることはできない。普通は構築物を支える柱であると同時に、中に入ることのできない、又見ることもできない一種の檻となる。